電力自由化時代の新規事業研究

電力自由化の時代に向けて、何が出来るか、世の中のためになるのか検討していきます。

太陽光発電の30日ルールの見直しについて

   

NHKにて「再生可能エネルギー買い取り義務 見直しへ」とのニュースが流れました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141211/k10013885601000.html

この中に所謂30日ルールを見直しを行うという記載がありました。

現在、電力会社は、太陽光などの発電量が需要を上回るおそれがある場合に限っては年間30日を上限に買い取らなくてもいい仕組みとなっていますが、新規の契約については、この上限をなくしていつでも買い取り量を減らすことを認めるとしています。

今回はこの影響範囲について考えてみたいと思います。

■30日ルールとは?
正式には
電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則第6条第3号イ
にて定められています。

接続請求電気事業者が、次の(1)及び(2)に掲げる措置(以下「回避措置」という。)を講じたとしてもなお当該接続請求電気事業者の電気の供給量がその需要量を上回ることが見込まれる場合において、当該特定供給者(太陽光発電設備又は風力発電設備であってその出力が五百キロワット以上のものを用いる者に限る。イ、第七号及び第八号において同じ。)は、当該接続請求電気事業者の指示に従い当該認定発電設備の出力の抑制を行うこと(原則として当該指示が出力の抑制を行う前日までに行われ、かつ、自ら用いる太陽光発電設備及び風力発電設備の出力も当該特定供給者の認定発電設備の出力と同様に抑制の対象としている場合に行われるものである場合に限る。)、当該抑制により生じた損害(年間三十日を超えない範囲内で行われる当該抑制により生じた損害に限る。)の補償を求めないこと(当該接続請求電気事業者が当該特定供給者に書面により、当該指示を行う前に当該回避措置を講じたこと、当該回避措置を講じてもなお当該接続請求電気事業者の電気の供給量がその需要量を上回ると見込んだ合理的な理由及び当該指示が合理的なものであったことを、当該指示をした後遅滞なく示した場合に限る。)及び当該抑制を行うために必要な体制の整備を行うこと。

 

簡単にまとめれば、

発電事業者から見れば、
一般電気事業者が、自社の発電設備の最大限の出力抑制を行った上でも電気が余ってしまう場合、一般電力事業者の指示の基に出力を抑える措置を取らなければならないこと
また、この措置を行っても年間最大30日間は電力会社に金銭的な補償を求められないこととしています。

一般電気事業者から見れば、
需要に対して供給が低くなり電力が余ってしまう状況になった場合であり、自社発電所の出力を下げてもバランスが取れなくなる場合、再エネ発電事業者に対して、発電をしないように依頼する権利がある。
最大30日間は費用発生せずに依頼をすることが出来る。
ということになります。

■背景
元々、一般電気事業者側から見た場合に、再生エネルギーの発電が増えすぎてしまった場合のインバランス対策のためのルールです。
全量買取の義務を負わせる代わりに、再生エネルギーでの発電量が大きくなって、且つ、需要側の電力が下がってしまった場合には何とか再生エネルギーの発電の抑制を依頼出来る権利を保有させました。
再生エネルギーの買取制度は20年間となりますので、10年、20年後の電力の状況も不明確であり、このようなルールで対応しようとしていましたが、現在の普及、申請状況を考えた場合にこのルールの運用だけで系統の安定性の確保を100%できるとは言い切れなくなったためルールの見直しを行っているのではないでしょうか。

■現状の制度の問題点
一般電気事業者から見た課題として下記のようなものが考えられます。
・30日を超えてしまった場合、全ての発電予測量に対して補償をしなければならない。
(この場合の再エネ付加金の扱いは?)
・事前に通知をする必要があり、万が一天候予測が外れたなどの場合も1日を追加されてしまう。
・1日単位であるため、最大30回の利用になる。
・一律の抑制であるため、小規模の抑制などコントロールが難しい。

■今回のルール変更
NHKの報道によれば、今回のルール変更において下記のような見直しが行われることになるとのことです。
・30日という制限を撤廃し、何日でも制限できるようになる。
(一般電気事業者の自社設備の最大限の抑制を行った場合に限る)
・本件の適用を、住宅設備(余剰買取?)まで拡大する。

■考察および懸案事項
・適用時期について
本項目は特定契約などの契約にて発電事業者と電力会社は契約にて定められています。
そのため、既存締結済みの事業者については適用外となります。
今後、契約変更を義務付けられる可能性はあります。
特定契約を行っていない事業者は契約要綱に基づき、受給契約を行っています。
この場合、遡って全事業者に適用になってしまうのかが課題です。
・電力会社側は今までは30日という制限があったのですが、制限がなくなった場合に抑制依頼を乱発してしまうのではないかとも考えられます。
ルールをしっかりと定めていく部分ではないかと考えています。
・現在の電力受給状況においては、抑制依頼がたくさん出てくるとは想定しにくいのですが、金融機関側では今までは最大8%程度の収益減だったものが拡大すると考えていたものが拡大してしまうため、費用回収リスクが発生すると考えてしまうかもしれません。
この場合、融資関連への影響が大きくなるのではないかと思います。

少し羅列してみましたが、個人としては今日の需給状況であれば、出力抑制を行わなければならないケースは多くなく、収益に対する影響は軽微だと考えていますし、これにより再エネルギーの受入れ幅が拡大するのであれば良いことだと考えています。
一方で、金融機関が融資がストップされるのではないか、低圧などの発電設備に対しても抑制する体制を保持することを義務付けられることによって費用負担が増えてしまうのではないかとの懸念もしています。

状況を注視していきたいと考えています。

 - ビジネスモデル, 再生エネルギー, 太陽光発電, 系統連系, 経済産業省 , , , ,

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Comment

  1. 米屋 より:

    よくまとめられてますね。
    報道については、他からも同じような内容が出てきてますので、ほぼ決まりでしょうね。
    ただこれだけ大幅な変更になると、パブコメも取らずに通達でと言うのは無理がありますね。
    新年度からの新規認定分からにして欲しいです(^^;)

  2. mat-plan より:

    ありがとうございます。
    先日の系統連系WGでも同じ方針が出されましたね。制度化までしっかり確認したいと考えています。

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